10月に入り円安傾向に振れた訳

 [2012-10-04] 10月に入り突然円安い方向へと振れ始めたドル円の動きを見て、不思議に思っている方も多いはずです。おそらく多くのトレーダーはアメリカがQE3を発動した事を受けて、さらなる金融緩和を感じて円買いへと走ってしまったことでしょう。

 しかし、実際蓋を開けてみると、9月の執拗なドル円の売りも収まり上げ始めていると言う現実はあります。この状況に呆気にとられてしまっている方も多いのではないでしょうか?また、少し上げ始めたドル円に売りで対応してしまっている方も比較的に多いはずです。

 実は、この上げ方は少し経験のあるトレーダーであれば簡単に予想をする事ができました。回りくどい言い方になってしまいそうなので単刀直入に言うと下の画像を見てください。

日本インフレ連動債

 上は、日本のインフレ連動債の推移を示したグラフですが、上に上がれば上がるほど日本の将来はインフレになると予想している人が多い事を示しています。どうでしょう?若干ではありますが上昇傾向になっています。

 つまり、何だかんだ言いながらも日銀の金融緩和策の効果は少なからず出ている事が分かります。では、次にアメリカドルについて見ていきたいと思います。

米インフレ連動債

 上がアメリカのインフレ連動債の推移を示していますが、QE3の発表を受けて一時的に大きく伸びたインフレ予想が、現在は下げ幅を広げる動きへと変化しています。

 これが何を意味しているのか?つまり、日本はインフレ傾向に向かった動きをしているのに、アメリカはデフレ方向へと10月から大きく予想が傾いている事が分かります。

 インフレ ⇒ 通貨安くなる、デフレ ⇒ 通貨高くなる

 なので、ドルと円の関係において、円安いドル高方向へと動きを進めた事になります。

円安方向へと動いている他の要因

 9月の末頃に必要に円高方向へと舵を切っている売りが入っていましたが、その時間を覚えておられるでしょうか?大体が日本時間の仲値頃だった事を覚えておられるでしょうか?

 9月は企業の決算と重なるため、私はどうやら輸出がせっせと売りを出しているように見えていました。そして、それを見越しているHFヘッジファンド(ヘッジファンドについてはこちらから)が日本の輸出企業に高いところでは売らせないように、合わせてせっせと売っていたのでしょう。

 知人の話によると9月末に安値を拾っていたのは、ロシア系のHF?との話も聞きましたが、一昨年当たり必死で売り込んでいたロシア系ファンドなかなかやりますな~と言ったとこです。

 ただ、輸出の種が切れたら、やはり介入のイメージも残りますし、HFも本腰入れて売り込みにくいと言うのが実際のところだったように思います。

 加えて、円高対策をされている方が入閣されたなどと言う事も有り、タイミングとしても売り方になるには中々勇気が必要と言ったところです。

 過去の相場を見ましても、阪神大震災の年に最安値を付けたドル円はもみ合いながらも上昇しています。

 まだまだ、これで円高解消とは言いませんが、驚くような事件でも発生しない限りは、底値をストップを入れて低レバレッジで拾っておけば、大怪我は無い相場展開になっています。

 ただし、ある一定の売り玉を刈り取った後は、ロンガーさんの利食いの雨アラレとなる事を考えると、やはり80円台からは頭が重い展開になる事が想定できます。日本の大部分の輸出業者の想定為替レートが80円と言うのもありますからね・・・。