FX指標での取引の注意点

 [2012-05-11] FXのトレーダーにとって最も注目されているであろうニュースの経済指標でのトレードについて少し書いてみたいと思います。

指標結果が分からない時の投資家の心理

 重要な経済指標はアメリカの経済指標の場合が多く、それはアメリカの経済力が世界へと与えている影響が強いからと投資家の多くが考えているためです。

 もしも、将来的にアメリカの経済が疲弊して消費も落ち込んでしまい、例えば、ドイツが世界1位のGDPを誇るようになり、さらに基軸通貨がユーロとなったとするならば、世界のトレーダーはアメリカの経済指標では無く、ドイツの経済指標へと注目がスイッチします。

 これが何を意味しているのか?と言うと、例えば同じアメリカの経済指標であったとしても「注目が集まっている時と注目が集まっていない時がある」と言う事です。

 もちろん注目されている経済指標と言うのは、その結果次第で相場が大きく変動しますが、注目度の薄いまたは比較的無い経済指標と言うのは、トレーダーの心理を動かすことも無く相場への影響も限定的となります。

 そこでトレーダーは、今はどのような経済指標に注目しておくべきなのか?を常に頭の中でおいかけながら、FXを見つめていく必要がありません。

 例を上げてみたいと思います。例えば、アメリカが量的緩和によってドル安が進んでいたとします。世界のアナリスト達はアメリカドル安が止めどなく続いている状態を懸念していました。

 貿易収支の結果は、安いドルの影響で輸出は一定の伸びを示している一方で、輸入についてはドル安の影響を受けて伸びが抑えられており、国内では安い外国製品の値上がりが起こり始めてドル安の影響がアメリカの一般家庭への影響を懸念する声が出始めました。

 こんな時にはどんな経済指標に注意してトレーダーは経済指標を見ていると思いますか?

 こう言うバックグラウンドが整った場合に、投資家が注目して動向を追っているのはアメリカのインフレ率を表した経済指標になります。

CPIの数値に注意して見る

 先ほどの場合、インフレ率に注意して相場を追いかけるトレーダーが増える事が考えられるので、アメリカのインフレ率の経済指標であるCPIの数値に注目が集まる事が考えられます。(参考:アメリカのインフレ率[CPI]の推移へ)

 もちろん、先ほどとは反対にインフレ率は安定しており、金融緩和や引締めの影響として意識されていない相場展開が起こっている場合には、CPIの数値が出たからと言ってもそれに目立った反応は示さないでしょう。

 他には重要な指標で有ったとしても、反応がほとんど限定的となるケースも存在します。

 それは、例えばアメリカの雇用統計や失業率の経済指標と言えば世界中のトレーダーから注目されている経済指標ですが、この発表が行われる1時間前に、例えばヨーロッパで経済危機となるような驚くべきニュースが発表されたとします。

 そのニュースは余りにも驚くべき内容だったため、1時間後にアメリカの雇用統計で良い数値が出たとしても、インパクトが無くなってしまい、反応が薄くなってしまうパターンです。

 つまり、経済指標を使ったトレードをするのであれば、最低限の世界経済のバックグラウンドくらいは知っておかないと何が重要で何が重要で無いのか分からないと言う事になります。

 もちろん、数値の良い悪いの影響も大切ですが、その指標が発表される前の相場全体の空気のようなものを感じ取る事ができるようになると、上手いトレードがやりやすくなります。

 どんな新聞でも良いですが、FXをするのであれば経済欄で写真付きで紹介されている記事程度は必ず頭に入れておくように癖付けておくことで、思わぬところで思わぬチャンスを掴む事になるでしょう。

 経済指標でトレードするのであれば、その指標に対するバックグラウンドが大切と言う事ですね!