常に異なった視点を持つこと

 [2012-05-19] 私は若い頃に調理師として数年間働いていた経験があるのですが、その頃は良く調理長や店長に「どこ見とんじゃボケー!」などと良くどやされたものです(笑)。

 FXの世界では私に対して真剣に怒ってくれる人なんて1人もいませんから、あの経験が今となっては大変役立っていると常々感じています。

リンゴとみかん二種類の視点を持つ事

 少しFXの話から逸れる事になるかも知れませんが、調理師と言う仕事は普通の家で夕食を作っている「お母さん」とは完全に異なる事をご存じでしょうか?

 お母さんも調理師も互いに料理を食べてくる人のために腕によりを掛けて作りますが、お母さんと言うのは作りたい料理のために必要な材料を買ってきて大体の時間を考えながら調理を始めます。

 しかし、調理師と言うのは、いつお客さんがやってくるのか分かりません。人気の無いお店では全くお客さんは来ないだろうし、反対に人気のあるお店では引っ切り無しにお客さんが出たり入ったりするでしょう。

 そのお客さんに対して料理を出すのが調理師で、「何時に何人いきますよ」なんて言う事前宣告なんて無いのが普通です。

 つまり、大よその顧客のピーク時間は「ご飯時」と言う意味で把握できたとしても、普段は全く客が来ない時間に突然まとまった客が入店してきてピーク時間を迎えたりする事も珍しい事ではありません。

 この感覚はまさにFXと全く同じ感覚があると私は思っています。全く動きが無かった相場が「深夜3時に突然大陽線を付けた」何て言う事もありますからね。

 そんな調理師時代に私がシツコク店長から言われていた事が有ります。それは「1つの事に集中するな」と言う事です。

 大根の桂剥きをする一方で後ろの焼台では魚が焼かれて、その隣のフライヤーでは揚げ物が上がっています。もちろん料理や素材によってその出来上がりまでの時間は違います。

 そのような全ての事に集中していないと、桂剥きが出きる頃のは魚が黒こげになっている何て言う事が有るからです。

2種の角度を維持する

 この経験はFXにとって本当に役に立つことになっています。

 それは、FXは自分がロングポジションを一度持ってしまうと、どうしてもロンガー目線での相場分析にになってしまい、売りのタイミング等を待つなんていう事はついつい忘れがちです。

 つまり自分の反対側の立場に立っているトレーダーの感覚を全く持てなくなってしまいます。

 しかし、これはトレードにとっては正に致命的な反省点で、トレーダーは常に冷静な中立な立場に立って状況を判断しなければ正確な取引を行う事ができません。

 1つの方向のみに意識を集中させてしまっては、その陰に隠れているものに目がやれないようになってしまうのです。

 更に、「木を見て森を見ず」何ていう相場の格言も有りますが、1点に集中した人間はどうしても周りの状況を見ているようでも見えなくなってしまいます。

 FXは数多くの視点を持ったトレーダーが数多くの角度から相場を分析したり解析したり、少しでも利益を増やしてやろうと日々奮闘してなりたっている世界です。

 私は、FXはそう言ったトレーダーの感覚を少しでも多く知ったトレーダーだけが生き残る(生き残る事ができる)世界だと考えています。

 つまり、自分目線のトレードだけでなく、テクニカルやファンダメンタルズを使い最低でも2種類の角度から相場を見る事は、長生きへの秘訣のように考えています。