ある国のトレーダーの話

 [2012-05-08] 今日は、私の友人でもあるメキシコ人のトレーダーのお話について少し紹介してみようと思います。

 幸運な事に私は少しだけですが英語を話すことができるため、世界にチラホラと友人がいます。今日のその友人の中でもメキシコ人のトレーダーのお話です。

古そうな世界地図

 彼は、元々私の友人のメキシコ人の親友として出会ったのですが、名前をMAX(マックス)と言います。もちろんそれはイングリッシュネームと言って、外国人に分かりやすいように付けた名前なのですが、「彼はメキシコでトレーダーをしている」と言うから一気に意気投合して色々と話をしました。

 マックスは私と同年代にも関わらず凄い肩書を持っている人で、元大学の教員で、さらにはアメリカ相手に貿易をしていたセールスマンでもありました。

 その後は株取引のトレーダーを個人でやった後に、今はまた大学で学生相手に講義を開いていると言っていました。

 そんな彼の専門は「数学」です。

 彼は、元セールスマンとしてアメリカ相手に貿易を行っていただけ有って、話の引き出しが無限にあるような人でした。もちろん経済の話についてもメキシコの現状や将来について私に熱く語ってくれた事を思い出します。

 その彼は私には理解できない数式を示して、「こうだからこの株は上がるはずだ」「これは、ここがマイナスになるからこの株は下がるはずだ」「この相場が上がる事は過去の歴史が証明している。もしも上がらないのであれば俺の計算式が間違っているか、相場が異常なためだ」とテクニカルな話を沢山聞かせて貰いました。

 私は平方根や因数分解で結構ギリギリな人間なので、彼がノート上で計算した複雑な計算式を見て思わず「この人凄いな・・」と圧倒されてしまったのですが、世界に限らずトレーダーそこまで考えて(計算して)トレードをしている人もいるんです。

 私のような数学に対して中卒程度の理解力しかない人間が「いざテクニカルで・・・」と言うトレードをしても、そんな彼らの理論を論破する事は100%無理だと思います。

 その頃のマックスは、トレードしかしてなかったのですが、その時に私に言った事を紹介したいと思います。

友人のトレーダーマックスの格言

 マックスは少し酔った顔を真顔に変えて私に言いました。

 「俺はいろんな数学の理論を生徒に沢山教えてきたけど、どんなに勉強してもまだ辿り着かない理論がある」

 真顔なマックスに息を飲みこみながら、「それは、何?」と聞き返しました。

 「それは、俺が相場で今月負け越している事だ」

 「・・・・・・」

 そう言ってニヤッと笑ったマックスに私は笑いを抑えきれずに大はしゃぎしてしまったのですが、何と、そこまで理論的に相場を分析しているのに負けていたんです。

 ちょうどその頃メキシコではギャング間での抗争が有り、その影響を受けてアメリカとの貿易が悪くなり、さらに観光客にも影響が出ていたので株価が下がっていたのでしょう。

 マックスのような大学で数学を教えているような先生でも、「相場の動きには数学で分析しても説明ができないところがある」ようです。

 もちろん私もテクニカルを使ったトレードをしていますが、マックスの分析を聞いていると自分のテクニカル分析は正に小学生のお遊びみたいですね。

 こんなトレーダーも世界には沢山いるんだな~と考えると、FXは奥が深いですよね。