ガソリンの価格とアメリカ大統領選挙への影響

 [2012-8-22] 英語版ロイターでは「ガソリン価格の高騰によって選挙を入れる対象は変わらない」と言う記事が掲載されていました。

ガソリンスタンドのガソリンの給油口

 2012年11月6日にアメリカの大統領選挙が行われる予定が組まれている事はFXをしていない方でも承知の事だろうと思いますが、現在アメリカでは、元アメリカ大統領である民主党代表であるバラク・フセイン・オバマ・ジュニア氏と共和党のミット・ロムニー大統領候補との一騎打ちが行われています。

 そして、この2人の一騎打ちとなっている大統領選挙の行く末を握る鍵として、にガソリン価格が高騰は選挙の結果には影響しないであろうとする記事が今回紹介しているものとなります。

 これだけ記事になり騒がれているので、さぞかしアメリカのガソリンの価格は高いのだろう?日本人はついつい考えてしまいがちですが、現在のアメリカでのガソリン価格の平均は$3.72となっています。

 ここでも3.72ドルもするのか?と思われるかも知れませんが、アメリカのガソリンにはリットルと言う単位は使われずガロンと言う単位が使用されています。

 1米ガロン = 3.78541178 リットルなので、つまりは1リッター当たりの価格は0.98ドル程度となっています。この価格が高いか安いかを考えるのはおいておいて、まず日本の円(1ドル = 80円計算)に換算すると、現在アメリカでは1リッター当たり80円にも満たない価格で販売されている事が分かります。

 20年ほど前の日本では、それくらいの値段でガソリンを購入する事ができましたが、今の1リッター140円や150円と言った状態なのに対して、アメリカでは80円ほどで高すぎると言う人が沢山いる現状だから驚きます。これが資源が有る国の優位性と言ったところにもなるでしょう。

 さて、このガソリン価格の高騰はいくらまで上がったのか?についてですが、2012年4月アメリカでガソリンの平均価格が1米ガロン3.97$まで高騰したようです。

 現在の価格から比べると1ガロン当たり20セントほど高い事になりますが、1リッターに換算すると6セントほど高い水準だった事が分かります。

 こう考えてみると、それくらいの値上がりほどでは、さすがに選挙に影響が出るとは考えない方が普通であるようにも思えます。

アメリカのガソリン価格高騰の背景

 アメリカが今回このように原油が高騰している背景には、イランの核開発問題が大きく関係しています。

 日本も同じようにイランからの原油を受け入れない方向でいますが、アメリカは代表して核開発を止めろと言っている国なので、尚更輸入している場合ではありません。

 つまり、アメリカ国民は「イランに核開発を止めさせるため、平和のためのだから、少々の原油高騰ならば我慢してやろう」と言う事のようです。

 しかしながら、別の切り口からアメリカ国内においての原油高騰について考えると、やはり金融緩和による影響が非常に大きいように考えられます。

 そこでドルインデックスを見てみると、4月の水準よりも現在の水準の方が2ドルほど高い状態にありますが、7月の最高値と比較してみると4ドルもの違いがある事が分かります。

 つまりは、今はたまたまドルが高い状態になっているため、アメリカのガソリン価格への影響が小幅で済んでいるものの、今後、またアメリカがQE3、量的緩和の第三弾などを打ち出したとなると、また大きくドルインデックスが押し下げられる事になり、それに応じてガソリン価格も一気に高騰してくる可能性も否定できません。

 非常に難しい判断となりますが、次のQEは中々踏み込める事態には内容に考えられます。