マリオとイタリア

 [2012-12-08] 今日は土曜日と言う事もあって、相場が動いていない状況なのでチャート見ながらのドル円についてウダウダと書いているいつものスタイルとは違い、週末バージョンでいきたいと思います。

 昨日は、お酒を飲みながらですたが、チラチラとチャートを見ていますと「割と板が厚かったな~」と言う感想があるのですが、地震や雇用統計などが有ったので、逆に言うと来週からネタがあるのかな?と言う気には少しなっていますが・・。

 色々と上下に振り回されて、やられてしまった方も比較的多いのではないか?と言うのが私の率直な感想であったのですが、今日は先週ニュースに上がっていた中でも特に私が気になっていたことについて書いてみたいと思います。

 あれ?と思うのようなニュースだったのですが、色々とブログ更新のために検索をしてみても話題が出てこなかったので、正直ちょっと戸惑いながらの更新になります。

 今回取り上げるのはイタリアについてなのですが、イタリアの現在の首相は誰だかご存じでしょうか?

 前首相はベルルスコーニと言う難しい名前の方で覚えにくかったと思いますが、昨年からベルルスコーニに代わってスーパーマリオが首相になっております。

 そうです。有名なマリオ・ドラギさんですね!

 って、違いますね。マリオ・モンティさんです。

 マリオ・ドラギさんは言わずと知れたECBの総裁に現在就任している訳ですが、彼もイタリア出身なんですね。そこでメディアでは二人のスーパーマリオの救世主などと取り上げられた事を覚えてらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

 話をイタリア首相のマリオ・モンティさんに戻しますと、彼が首相に就任する以前はベルルスコーニさんが首相を務めていた訳ですが、実は、このベルルスコーニさんは実業家出身で、要するにお金持ちなんですね。

 ただ、裏では黒い噂が多くて、元々会社を作った資金の出所が不明だとか、マフィアをかじっていたりとか、まぁ~良くこんな人が首相やってるなクラスの黒い話が沢山ある方なんです。

 そんなベルルスコーニさんが、支持率の低下を受けて辞めてしまうわけですが、そんな時にドイツの首相であるメルケルさんが必死に擁護する発言を連発していた事を思い出します。

 国債問題で大荒れだった時なので仕方ないかも知れませんが、個人的には「おいおいマジかよ?」なんて思っていたのを思い出しますね。

 そこで、なぜ今回このマリオ・モンティさんを取り上げたかと言うと、実は先週少しニュースで流れていたのですが、もしかすると「辞めちゃうんじゃない?」と言う話が出ているようです。

 個人的にはベルルスコーニさんよりも、よっぽど国や世界経済の事を考えて行動していたように映っていただけに非常に残念ではありますが、余りにこの事についてのニュースが少ないもので、私的にも題材に選んだにも関わらず困っている次第です。

 この事が「重大では無い」と考えて相場に臨むことの方が私は非常に問題だと思うのですが、まぁ、ニュースが多く無かった腹いせに愚痴っておいきました。

マリオ・モンティとイタリアの経済

 では、先ほど辞めちゃうかも知れない?と言うマリオ・モンティさんが、どれほどイタリアに貢献していたのか海外のニュースから画像を見つけてきたので見てみたいと思います。

イタリアの経済状況ドイツ比

 (情報源サイト:economist.com

 まず、左のグラフを見て頂きたいのですが、茶色のグラフが有ると思いますが、これがイタリア10年国債の利回りの推移です。

 「7%を超えた状態で推移すると債務不履行に陥る可能性が大」と言う状況の中で、モンティさんが就任してから一気に利回りが低下している事が分かります。

 これは、明らかに彼の成果のように私は感じていますが、次に左グラフの水色の部分を見て頂けると分かりますが、この水色のグラフも下に下がってしまっています。

 これは、支持率を意味しているのですが、モンティさんが行った財政再建に伴って、緊縮財政の結果に国民の怒りがフツフツと湧き上がっている事を示しています。

 赤字を削減するためには、それなりの痛みが伴うと言う事もありますが、この支持率の下がり方は非常に危険水準にある事が分かります。

 つまり、この低下が今回辞めちゃうんじゃないの?と言う理由になっている訳です。

 次に右のグラフを見て頂けると、1999年をベースにしたイタリアとドイツの労働賃金と労働生産を示しているものです。1999年を100と言う基準値にして、どのように推移していったかが分かると言うものです。

 これを見て頂きますと、肌色で上に上がっているものが目立ちますが、これがイタリアの労働賃金の推移です。薄い青はドイツの労働賃金の推移なのですが、これと比べると明らかにオーバーシュート気味だと言う事が分かります。

 次に、一番濃い茶色がイタリア労働者の生産性で、濃い青がドイツのものです。

 つまり、イタリアはドンドン賃金は上がっていく一方で、生産はドンドン落ちていると言う状況になっている事が分かります。

 さて、これを見て頂けると分かりますが、イタリアの労働者の状況は良くない事が分かりますね。賃金が上がってしまっては生産が落ちているのですから、雇う側としては雇用をしませんもんね。つまりは失業率の増加に繋がると言う状況です。

 この事態に、モンティさんが止めてしまって、緊縮財政を取りやめにしたら・・、また10年国債の利回りが鰻登りになってしまって・・・、完全に危険なサインが出ると言う事になりかねません。

 ギリシャ問題が静かになると決まって出てくるのは、スペイン・ポルトガル・アイルランド・イタリアの問題です。

 来週から、このようなネタにも注意して相場を見ていきたいように思います。