GDPとFOMCの動きの違い

 [2013-1-31] 今日は昨日と今朝方に発表された米GDPとFOMCの動き方の違いについて書いていきたいと思います。(参照:アメリカGDPの結果とグラフFOMC政策金利の結果とグラフ)

 どちらも「注目度の高い経済指標の発表」と言う点では同じになりますが、昨日は特に動き方に違いが出ていた事にお気づきになられたでしょうか?

 この事について、今朝方放送されていたBloomberg TVでもアナリストが少しだけ話していたので、私も個人的な経験則と知人関係から聞いた話などを元に紹介してみたいと思います。(参照:Bloomberg TV(英語のみ))

 まずは、昨日の全体的な動きをドル円30分足をベースにチャートを切り取ってみたので、それを見ていきたい思います。

2013年1月31日ドル円30分足チャート

 さて、ここで注目して頂きたいのは、黄色の○で囲んだ陽線なのですが、不自然な位置から生えている事が分かると思います。

 一体なぜこのような位置から陽線ローソクができてしまったのでしょうか?業者側が提示したレートのエラーなのでしょうか?

 実は、このローソクが昨日のアメリカGDPの指標発表が行われた際に付けたローソク足の形状なのです。

 GDP発表と共に為替レートは一気に91円を割り込み白いラインが入った90.80付近まで下落を見せましたが、そのため、業者側が提示しているレートが追い付かずに変な位置からの陽線が付いてしまったと言う事になります。

 投資家によっては、レートが大きく飛んだ事を受け、そこに「窓が開いた(開いた窓は閉める)」と考えて下に飛んだレートに対して一気に買いこみを行います。

 そのため、今回のケースでは陽線となり開いた窓を完全に埋める展開となりローソクは引けました。

 その後、FOMCが発表されましたが、今回のFOMCの文面はインパクトが無かったと言うのも言える点ですが、文面発表直後に際立った相場の動きを感じる事ができませんでした。

 ここで本題なのですが、GDPは今回「マイナス」と言う非常分かりやすいドル円の売り材料となりましたが、FOMCと言うのは同時に発表される文面も大事なので、その中身を読み取る必要があります。

 そこで、アルゴリズムトレードと呼ばれる、コンピュータを使って自動売買しているトレーダーの多くは、文面と言うコンピュータでは解読しにくい発表に対してはトレードをさせないようにスイッチを切っていると言われています。

 つまり、GDPのような数値データで、コンピュータや人間が見て、どちらも「これはサプライズ(驚き)」と瞬時に感じるのであれば、相場は一気にそちら方向へと動きを見せる傾向がありますが、FOMCのように文面を読まなければ、判断が難しい場合にはジワジワとした動きになるパターンが多いと言う事です。

 FOMC発表後には、「あれ?全然動かないな」と思ってポジションを持った直後にドーンと大きく動く事もあるので、注意が必要と言う事が言えると思います。

 さらに、GDPや他の指標と言うのは過去のデータを示したものですが、FOMCは中長期的な未来の思惑も入った文面となっているため、その後の長い目の相場に影響を与える事も散見されるので、その点の違いについてもしっかりと抑えておきたいところのように考えています。

昨日のFOMCを受けて

 では、最後に現在のドル円相場について振り返りながら、相場を見ていきたいと思います。

 私のポジション取りは少し遅れたのですが、GDPのマイナス結果を見て窓埋めが行われた後でショートを振っています。

 91.255と言うポジションですが、もう少し伸びると考えていただけに売り込みが遅れたと言う経緯があります。

2013年1月31日ドル円30分足チャート2

 現在のドル円チャートは30分足で見ると、高値がドンドン加速度的に叩かれ始めている事が分かります。

 やはり、昨日のGDPを受けて「何処までドル円を買っても良いの?」と相場自体が少し疑心暗鬼的な動きになっているように思います。

 昨日のFOMCの文面で注目すべき点としては、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明「ジョージ米カンザスシティー連銀総裁は高水準の金融緩和の継続が将来の財政的不均衡の危険性を増し、時間とともに長期インフレ予想の上昇を引き起こす可能性があるとして反対した」の一文です。

 ジョージさんはホーニグ氏の後継として2011年の年末より連銀総裁として就いた方なのですが、前総裁であるホーニグ氏はFRBの中でも「タカ派」的な存在の人物であった為、どう言う反応を示すのか気になっておりました。

 事前に、ジョージ氏は今回のFOMCの内容と同様の発言は行っていたのですが、FOMCの文面に入ったと言う意味ではFRBの利上げもそう遠くない未来に実践されると考えられます。

 ちなみに、昨日のBloombergのアナリストは低金利が長く続いた分、アメリカの金利は2%では持たない、下手をすると4%4.5%までの引き上げが必要になってくる可能性がある。と言う表現をしていました。

 また、今回のGDPの悪化の原因としては、自然災害が組み込まれ、選挙や財政の崖の影響では無いとの見方を示していましたが、実際住宅市場の悪化を見てそのリバウンドが無ければ非常に大きな注意が必要なような気はしています。

 さて、本日の予定としては週末に米雇用統計が予定されているため、それを見据えた上で失業保険者の数に注目が集まりますが、今回のデータは今月の雇用統計に影響を与えないため、来月発表分の未来分と考えて動く必要が有ります。

 とりあえず、「相場は重くなった」この形でのトレードとなりますが、まだまだ月末ドル需要が強いドル円、高値狙いにいかないとも言いにくい状態ですが、少し風向きが変わり始めている点に注目しながら売り傾向で高値を叩いてみたいと考えています。