イギリスポンドの行方
トリシェ総裁からドラギ氏へ
ECBの前総裁であるトリシェはドラギ氏がECB総裁に就任する前に最後の仕事として何を行ったかと言うと、ドラギさんの出身国でもあるイタリアの国債を買い上げた事と、政策金利の引き上げを行いました。
その事により、ドラギさんが就任してからは政策金利を変更する幅が与えられた事になり、運営として手詰まりスタートと言う事が無くなった事になりますし、イタリアの危機に対して横やりでECB総裁であるドラギ氏「イタリアを優遇している」などと言う意見がでないように配慮しての行動も有ったと考えられます。
話を戻してイギリスのポンドに目を向けると、次期BOE総裁は現BOC総裁のカーニーさんとなっています。
イギリスは余所の国から優秀な人材と言う事で引っ張ってくる事になったカーニーさんですが、イギリスのLiborの問題が有ったとは言え、要するには外様である事には変わりはありません。
そんなカーニーさんが総裁に就く前に恐らくはキング総裁も任期満了前に、カーニーさんがやりやすい状態へとBOEを持っていく事が考えられます。
私のイメージではカーニーさんは、ある一定の期間を設ける政策が好きな方のように思います。
例えば、カナダの政策金利に関してもそうですが、2009年には「2010年までは利上げしない」などキッチリと緩和から撤退する時期を指し示すイメージがあります。
そんなカーニーさんがイギリスの総裁となると、やはり金融緩和派でやってくるように考えられるのですが、キングさんはもしかするとそんなカーニーさんに政策の幅を持たせるために50ベースポイントほどの利上げを来年辺りに25ごとで行ってくるかも知れません。
では、最後にイギリスの失業率について見てみたいと思います。
所謂、高止まりの失業率である事が分かります。これでは実際には利上げ何て言う事はできるはずは無いと言うのが結論になります。
しかしながら、イギリスは国事態をインフレ状態なのか、それともデフレ状態なのか、結局はどちらかに統一するような政策をとってくる事が考えられるのではないでしょうか?
ともすると、インフレ率は中期的には抑制されていると考えられる現在、インフレ方向、つまりは緩和方向へと舵を切ってくるような気がしてなりません。
更に最初にチャートを見た時に週足はレンジの上限となっています。
この条件を考えると、ポンドは来週から少し売りに傾いてくるのかな?と言った雰囲気が私の中では湧いてきてしまいます。
しかしながら、もう年末に差し迫ってきた相場、もうクリスマスも近くなってきたことですし、板が薄い中無理に相場を張るのも危険と言う考えも生まれるでしょう。
この動き、頭に入れたまま来年の相場を迎えたいと思います。ポンドは得意ではないですが、こうやって考えてみると面白そうな材料があるな~と思いました。
[2012-12-22] さて、本日はイギリスポンドの行方と題しまして、イギリスの通貨であるポンドについて書いてみたいと思います。
私は昔はポンドを触っていた事もあるのですが、恥ずかしながら「イギリスに今までに一度も行ったことが無い」と言う事を理由にポンドでの取引をすることはめったになくなりました。
やはり自分が自分自身の目で見た国や働いた事のある国の通貨の方がイメージしやすいと言いますか、取引材料も豊富に見つける事ができるからなのですが、今日はそんな余り触る事のないポンドがテーマとなっています。
ポンドと言えば、ソロスを代表とするヘッジファンドに狙われた事のある通貨として知られていますが、ファンド関係者に良く好かれる通貨ペアでも有ります。そんなポンドについて今日書こうと思った理由は以下のチャートからです。
このチャートを見てお気づきかと思いますが、週末に売り浴びせを受けていたポンドドルですが、私は「なぜ、こんなに売られたのだろう?」とふと気になっておりました。
するとポンドドルの週足チャートで上のような状態であった事に気が付き、12月と言えども、これほどのチャンスを逃した自分に対して少し情けなく思っておりました。
ご覧の通り、週足のガチガチ上下レンジに挟まれた展開となっている中で、「高値は確実に堅いであろう」と思われるラインにぶち当たって叩きのめされている状態です。
更に引けは大きな上髭となるまで叩かれている事から、この売りは来週も継続を示唆する形までとなっている事が分かります。
チャートを見れば売られる材料は見つかりましたが、色々と見ていく内に個人的に余りポンドを追いかけていないので気づいていなかった事がチラホラと見つかってきました。
まず、2010年6月30日にポーゼン・英中銀金融政策委員会(MPC)委員によって、「デフレ圧力があるにも関わらず、英国ではインフレ率が上昇している」と発言されていた事を思い出しますが、現在のイギリスのインフレ圧力はいったいどのようになっているのでしょうか?
参照:イギリスCPIコアの推移グラフ
上のグラフはイギリスのCPIコアの推移ですが、インフレ率の推移を見てみると直近の結果では少し上昇基調にある事が分かりますが、2~3%の間と安定している事が分かります。
つまりは、イギリスとしては追加緩和策に打って出るには少し早い展開では無いだろうか?と言う憶測を立てる事になります。
では、次のグラフを見てください。
参照:イギリス ハリファックス住宅価格(前年比)推移グラフ
上はイギリスの住宅価格の推移を前年比で示したものですが、ドンドン価格の下落が進んでいる事を示しています。
つまりは、物価の下落、2010年にポーゼン氏が話しているインフレ問題とデフレ問題が共存している所謂1つの証拠となるデータとなる事が分かります。
つまりは、住宅市場に注目して見ると金融緩和が必要なような気がしますが、CPIに注目して見ると金融緩和の必要がないと言うジレンマに挟まれている状態のように感じました。
やはり市場は現在の総裁であるキング氏が来年で任期満了となる前に、カーニー氏が政策を取りやすいように何かして来る事を予期している可能性もいなめません。