複雑!来週のドル円相場

 [2013-3-3] 先週末、きっちりとやられてフィニッシュとなってしまいましたが、今週も来週のドル円の展望として、チャートとニュースから簡単に戦略を考えていきたいと思います。

 まずは、ドル円の月足からです。

2013年3月3日ドル円月足

 月足での時間軸でみると、麻生大臣が言っているように、現在のドル円相場は「ただの過度な円高からの巻き戻し」と言えるように思えます。

 ただ、若干気になる点としては、高値が上髭となって引けている点ですが、これはイタリアショックと言いますか、イタリアの選挙結果を受けて大きくドル円相場が売り込まれたからですが、先週末の動きは、この髭を食べにいっている事が分かります。

 この月足を見て分かるように、95円と言うラインに入ってくると輸出の売り抜けも少しずつ入っているようで、上値は重い展開を想定しておくと綺麗なレンジを意識できそうな取引ができるように考えています。

 次に、直近相場に対する現在の上げを牽引しているファンダメンタルズ(ニュース)材料ですが、やはり一番は日銀の総裁人事で、来月4月頭に行われる政策金利決定会合では更なる金融緩和が行われるのでは?と言う事が意識されていると考えられます。

 買いの中身としては、月末、月初めのドル需要に乗っかって、アメリカのドル自体が買われる中で、イタリアの選挙を背景に一時的に大きく売り込まれたドル円の自律反発と言う目もあると考えられます。

 また、やはり気に有ってくるのはアメリカの予算強制削減についてですが、オバマ大統領とベイナー氏の合意に至らず、長期に渡り混迷を深めた場合、概算では2013年度のGDPは-0.5~-0.6、また75万人の雇用減少、休職中の公務員は給料減、中小企業への公的融資縮小、など様々な影響が現れ始めます。

 我々投資家は、「まぁ、いつもの事だから、突然話がまとまって軌道が出始めれば3日で蹴りが付くだろう」と言うのが本音なところです。

 雲行き的には、問題先送り方向へと舵取りを行い5月に債務上限引き上げの議論へと言う流れになってくる可能性も出ています。

 毎年、毎年、5月のゴールデンウィークほど鬼門の月は無いですね。今年の5月もまた荒れそうな気がしてきます。

 と、5月の話まで考えると、少し目線が長いので、週足レベルでの動きをギリシャショック時と比べて見てみたいと思います。

ギリシャショックとイタリアショック

 さて、目線を来週の動きまで下げてきて、先週のイタリアショックと、2010年5月のギリシャショックのチャートを週足レベルで比較してみる事にしました。

 どのような相違点があるのかを追いかけながら、来週の相場を考えてみたいと思います。

2013年3月3日ドル円週足

 まず、ギリシャショックのチャートは四角の中に囲んだチャートですが、大きな下髭の陰線となっている事が分かります。

 これは、今回のイタリアショックでの相場と似通っている点となりますが、更に似ている点がもう1点あります。

 それは、95円と言う水準です。

 ギリシャショックが発生した時のドル円高値は94.99と95円の壁に跳ね返され、「誰しもが95円の壁を抜けるだろう」と考えた矢先の出来事でした。

 そして先週の月曜日の大窓を開けた相場も、取引時間外ですが、95円に迫る高値を付けたところで、窓埋めもあり一気に売り込まれて、その流れのままイタリアの選挙結果を悪材料にした売りで一時90円台まで落ちる展開となりました。

 これに誤発注が絡んでいたならば、ギリシャショック並みの落ちが入っていた事が想定されますが、今回の場合は誤発注も無かったと言う事で、そこまで大きな動きにはならずに済んでいます。

 次に注目する点は、ギリシャショックの場合、次の週には一旦下落前の水準まで相場が戻している事でしょう。

 このような動きを想定しての先週末の買い上げとなったのであれば、今週頭は高値追いの買いで入って、94円台に入ってからは売りに切り替えると言うトレードがスタイルが見えてくることになります。

 また、今週は材料が多すぎて、相場が上下どちらに振れるのか分かり難い時でもあります。

 全体的には、4月の日銀新メンバーでの会合でさらなる金融緩和が打ち出される事を期待する動きが、打ち込まれた場合には発生してくるでしょうし、高値圏においてはイタリアの混迷とアメリカの予算案が話題となり高値叩きの材料になります。

 今、円を取引する事は非常に難しい状態となっていますが、基本的には上げれば売って、下げれば買うレンジ相場をベースにして怪我無く取引を終えたいと言う気でおります。

 爆発的に相場が動く材料としては、やはりイタリア・アメリカをベースにしたニュースとなってきますが、イギリス格下げ、スペインの景気問題、キプロスの債務問題、遠く考えればアルゼンチンも・・・と、いくつか難しい問題も転がっています。

 このような状態では、下手をするとユーロスイスフランの下限ブレイクも近いのでは?と私は考えてしまうのですが、現在は予想以上に好調なアメリカの経済指標が下支えの材料になっています。

 そこで、来週は上下ラリーを想定して、上げれば売り、下げれば買いで、レンジ局面を意識してコツコツとしたトレードをしたいと考えていますが、全体的には、95円までは売り目線として相場に臨みたいと考えています。