バーナンキとイエレン違い

 [2013-10-19] 本日は、土曜日マーケットはお休みと言う事で、私の個人的な雑談にお付き合い頂ける方だけ続きを読んで頂ければと思います。

 さて、本日のお題は「バーナンキ現FRB総裁とイエレン現FRB副総裁(次期総裁)の違い」について、海外のマーケットアナリストの話を元に簡潔に紹介してみたいと思いますが、非常に困った事にソースの保存を忘れてしまっており、その記事を読んだ上で私の個人的な考えが含まれた内容になることをお許し頂ければと思います。

 まず、バーナンキ現FRB総裁は、マネタリーベース(資金流通量)を基準として米経済を回復路線へと向かわせようとしている人物ですが、正直なところ彼のカリスマ性と終始一貫した姿勢からは、マーケットを黙らす事ができる「力強いリーダー的な総裁」であったように分析しています。

 一方で、イエレン現FRB副総裁は、これまでサンフランシスコ連邦準備銀行総裁を務めるなど輝かしい実績はあるものの、どちらかと言うと、コーディネーター(いろいろな要素を統合したり調整したりして、一つにまとめ上げる係)的な人物であるように考えています。

 これまでも、イエレン現FRB副総裁は、マーケットからバーナンキ総裁の良き理解者であり最大の支援者だと考えられていましたが、独走するバーナンキ総裁とFRBメンバーを繋ぐパイプのような役割を果たしており、それまでイエレンFRB副総裁がハト派的な意向を述べていたケースにおいても、バーナンキ総裁がタカ派よりの発言を出した状況を見ると、その発言がマーケットへ与える影響を考えバランスを上手く取るように「中間よりややタカ派よりの発言」を出すなど、コーディネーターとしての動きが印象的でした。

 このような考え方について、日本版ウォールストリートジャーナルでも私と似た見解が紹介されており、そこでは「FRBメンバーによる合意を順守する総裁となるであろう」と言う見通しが書かれておりました。

 つまり、世界中のアナリストは彼女を、独走しないチームワーカーとして位置付けている点について、バーナンキ総裁との大きな違いがあると言えるでしょう。

 イエレン総裁がチームワーカーであるとするならば、マーケットからの注目は俄然NY連銀総裁であるダドリー氏に集まる事になり(毎年FOMC投票権があるため)、これまでのように「総裁発言のさじ加減で大きく上下したマーケット」から「ガス抜きが可能なマーケット」へと変化する事が考えられます。

 また、発言に関して、もしチームワーカーとしての意見が多くなるとするならば、総裁の記者会見等でも新しいマーケット材料が提供される機会も少なくなる事が想定され、それは、これまでのような記者会見に対する注目度も無くなる可能性が示唆されます。

 次に、バーナンキ総裁と大きく違う点として言われているのが、イエレン副総裁がデータ重視の考えを持っていると言う点です。

 彼女は、経済指標などのマーケットデータを精査して、そこから導き出される結果を元にした見通しを立てる人物として知られており、これまで以上に米雇用統計や失業率への注目度が大きくなる可能性が有ります。

 このように考えてみると、来年からバーナンキ総裁が居なくなってしまう事で、FRBに非常に大きな変化をもたらす結果になると思うのですが、彼女はFRBメンバーの中でも極めてハト派よりな人物でもあります。

 その彼女が総裁になることで、QE幅縮小に向けて、そのペースが遅くなる事はもちろんですが、米国債利回り上昇を抑える役割を果たす事は、現在のマーケットをみていても間違いないところでしょう。

 現在では、QE削減が来年の3月との見通しが強くなってきており、結果的に今週可決された米債務上限と予算案の再延期がスムーズにいけば・・と言う事になってくるでしょう。

 そう考えると、完全に米政府がFRBの政策に関しても大きく足を引っ張っている状況を、米政府関係者はもう少し意識しておいても良いのかも知れませんね。