米国債務予算の状況と流れ

 [2013-10-16] 昨日は、高値売りを行う形で取れ高(Pips)的には比較的取れたのですが、取引高を控えめにしたトレードを実施していたため(米国情勢を考えて)、利益的には取れ高を想定すると薄利と言う1日になりました。

 以下が先日私が作成しておったドル円4時間足チャートとなりますが、後で紹介する本日の4時間足と比較すると比較的制度が高いチャートを作成できていた思います。

ドル円2013年10月15日チャート4時間足

 さて、先日からのマーケットの流れですが、本日はアメリカの債務上限並びに予算案についてフローチャート的なもので整理して紹介する予定をしていたのですが、もう、私を含めたマーケット参加者も「ええかげんにせぇ!」と言わんばかりの状況になっており、意欲が削がれてしまったので、簡単に注目ポイントを紹介させて頂きたいと思います。

 現在、アメリカでは2大政党制となっており、皆様も御存じのオバマ大統領が民主党のボスとして君臨し米上院で法案を通すために必要な議員数を確保しており、一方で野党最大勢力である共和党は下院で法案を通すために必要な議員数を確保しており、下院議長であるベイナー氏が共和党のボスとして意見を出しています。

 その下院の共和党の中でも、ベイナー氏に完全に賛同する議員と、ティーパーティー(保守派勢力)と呼ばれる選挙に大きな力を持った組織の意見で動く議員とかいます(細かい説明は排除しています)。

 そして現在のこの債務上限や予算案を通す事ができない状況は、ベイナー氏の共和党の統率力を失い始めている事が問題となっており、ティーパーティーに参加している保守派議員の意見を無視できなくなっている事が大きな課題となっています。

 このティーパーティーがバックについている議員は、「アメリカのデフォルト(債務不履行)」も辞さない構えでオバマケア等の法案に反対しており(金持ちが貧困層に対して資金を捻出したくないため)、その過激派とも言われる保守党の意見を共和党のボスであるベイナー氏も統率できないいるため、無条件にて民主党が打ち出す法案(上院で可決され下院に送られる法案)を許可する事ができなくなっています。

 そのため、昨日は「法案が通りそうだ」と言う流れになっているのに、今日は「やっぱり法案は通せない」となるなど意見が二転三転している状況となってしまいます。

 さて、このような状況について、予算案については公務員の給与支払い等ができないため公的機関の一部閉鎖などに追い込まれる事になり、現在では州政府等が運営費用等を捻出する運びととなり、これまで閉鎖されていた観光名所である自由の女神やグランドキャニオン国立公園等についても再開する形となっていますが、問題は「債務上限引き上げ」になります。

 この債務上限引き上げは今月の17日、つまりアメリカ時間の明日までに可決しない限りは、手続き等の日数も含めてアメリカは「デフォルト(債務不履行)」に陥ると言われています。

 実際には、手続きはギリギリまで進められているため、もう少し猶予はあるとは思うのですが、マーケットの総意としては17日が非常に大きなターニングポイントだと見られています。

 その17日を前に債務上限引き上げが両院(上下院)で可決されない場合、アメリカが11月に控える大型な国債償還に資金が足りず、「借りた金を返さねーよ」と言う状況を国が行う事になってしまいます。

 この状況に世界中のアメリカ国債保有国たちからは、「おいおい、さすがに、ええかげんにせぇ!」と言う声が、上がっているのですが、日本は世界を代表するアメリカ国債保有国ですので、その影響は甚大なものになる事は間違いありません。

 また、米国国債はアメリカの量的緩和の流れを受けて、アメリカの中央銀行であるFRBが大量に米国債を購入しているため、この国債が債務不履行に陥った場合に、FRBの財布への影響は絶大なものになる事が想定され、それは世界へと波及していく事は間違いないと考えられます(トレードは円買いで間違い無い状況に)。

 また、昔、アメリカは1日だけ手続きのミスでデフォルトをしてしまった事があるのですが、その当時と比べて技術は大きく進化しており、取引が超高速となっている現在では、当時の状況は全く参考材料にはならず、非常に荒々しい何円値とびするか分からないようなマーケットになる事が想定されるので現状が如何に危険なものかお分かり頂けるはずです。

 最後に、こう言った状況になっているアメリカに対して、これまで圧力を一切掛けてこなかったアメリカお抱えの格付け機関も、フィッチが要約重い腰を上げ、トリプルAAA(最高ランク)格付けを持つ米国債に対して、「ウォッチネガティブ(格下げ方向へ見直し)」とし、圧力を掛ける状況になってきています。

 実際にデフォルトとなった場合には、高い確率で国債の引き下げが行われる事になるため、トリプルA国債のみを対象にして資産運用をしている銀行は米国債から手を引かなければいけなくなるため、米国債売りと同時に不安心理からの米国債買いも集まり、パニックになるケースも想定されます。

 要するに起こってはいけない話に対して、ダラダラとしているアメリカの状況について、トレーダーの怒りの声は、「米株価売り」と言う形で見えてくる可能性もあり、今日、明日と気が抜けない状況になっている事を覚えておいて頂ければと思います。

ドル円4時間足のチャート

 さて、後半はいつものようにドル円4時間足チャートですが、結局レンジ相場の米ニュース待ちなので、特に目新しい情報は無いかと思います。

ドル円2013年10月16日チャート4時間足

 前半戦が本日は長くなってしまったので、チャート解説は省略してみたいと思いますが、基本はレンジ相場で、本日「米債務上限引き上げや予算案について進展が無い」と言われているので、材料が出ない限りにおいてはレンジ相場を想定しています。

 しかしながら、材料次第では急速に打ち込まれたり上昇したりしやすいチャート状況で、この流れに便乗するモデル系からのフローもあるでしょうし、ストップカットをしたからと言っても「飛び乗り」は避けたいと考えています。