米指標の変化で緩和縮小へ

 [2013-7-17] 個人的には、まんまと4時間足でのリスクヘッジがはまった相場となったのですが、その裏では中々面白い指標が昨日登場している事に対して、マーケットの反応が鈍い状況を感じています。

 まず、私が最も注目していたのは米CPI(消費者物価指数)についてですが、発表値は、前回+1.4%・予想+1.6%・結果+1.8%となりました。

 このCPIは前年比のデータとなりますが、前年比ベースにて1.8%の伸びとなり、FRB連銀総裁から出ている「弱いインフレ率を懸念」と言った声は、今後聞こえてくるのか微妙なところになりました。

 しかしながら、マーケットは結局この発表後に下押ししたのですが、その要因として挙げるのであれば、CPIコアが前回+1.7%・予想+1.6%・結果+1.6%と、前月の数値から0.1ポイントの後退を見せたからでしょう。

 FRBは、原油などのエネルギー価格の変動を受けやすいCPIの数値よりも、CPIコアの数値をベースに考えているところがあるため、CPIコアが前月と比べて弱くなった事は、マーケットとしては円買い材料ととってもおかしくは無いからです。

 このように全体の数値を見てみると、NY連銀総裁が事前に出していた「インフレ率は安定している」との発言範囲内に収まってしまった感が残ります。

 さて、CPIコアが上昇してこない事にはFRBの金融緩和からの撤退が見えてこないのでは?と言う思いが浮かんでくるかと思いますが、実はもう1つ先日、気になる指標が発表されています。

 それはNAHB住宅市場指数と言う、アメリカの不動産業者の景況感と言いますか、今後半年の見通しをアンケートとして取った結果を指数として出しているものがあります。

 この数値が+57と、もちろんリーマンショック以降最高で、それ以前の水準まで回復している、かなり強い結果を出しています。

 このNAHB住宅市場指数は50以下だと先行き見通しが悪い事を示し、50以上であれば先行き見通しが明るいことを示すのですが、+57と言う数値が、住宅関係者が明るい見通しを持っているか分かります。

 これがどう言う意味かと言うと、昨年まで、弱い住宅市場に対してバーンナンキ総裁は、何度も弱い住宅市場に対して釘を指し、その影響を受けて緩和が先の伸びする事をマーケットが意識した円買いがおきてきました。

 常に「弱い」と言い続けてきたアメリカの住宅市場に強さが戻ってきている、これはバーナンキ総裁にとっては、緩和を維持する材料が1つ減ったとも言える事となります。

 つまり、残る玉は、弱いCPIコアと失業率、この2点なのですが、この2点だけが緩和の支えとなっている今、量的緩和の縮小への意識は強くなってくるように考えられます。

 しかし、そこはFRBの腕の見せ所で、連銀総裁は口先でマーケットのガス抜きを行い、ソフトランディングに向けた動きも行ってくる事が考えられます。

 そんな中、バーナンキ総裁の議会証言が、本日は質疑応答形式で行われる予定だったはずですが、ここで厳しい質問が飛ぶようならば、もしかすると一気に円安に振れる事も有るのかも知れませんね。

ドル円の4時間足チャート

 さて、無い頭を絞って前半戦を一生懸命に書いてしまったので、後半戦は簡単にチャートのみを掲載しておきたいと思います。

ドル円2013年7月17日チャート4時間足

 テクニカル的には最後の99カットでロンガーを殺しに来た形となっており、比較的上攻めがしやすい形状になっているように思っています。

 また、上は99.5辺りがターゲットとなっており、99より下には断続的にドル買いオーダーが入っているようなので、底攻めをするのであれば、一気に刈り取る材料が必要になるかも知れません。

 上攻めの場合には99.5オーバーのストップを巻くと、100円ストライクでのオプション等も有りますが、大きく抜けてくる事を想定しています。

 全ては、バーナンキさんのコメント次第としておいた方が、今日のマーケットはやり易いように考えています。