雇用統計を前に

 [2013-7-5] さて、ポルトガル情勢について、パソス・コエリョ首相が「辞めない」と発言した事で、これ以上の悪化は無いのではないか?と言う見方が広がり、何とか踏みとどまるユーロに、ドル円は五十日の買いが持ち込まれて底堅く推移しました。

 エジプト情勢については、アフリカ連合が中に入っていくと言うことで、そちらについても若干の鎮静化が期待できるのではないか?と言う見通しが出始めています。

 一方、やはりまだまだ懸念材料は有り、ギリシャの融資についてや、スペインへの飛び火などの欧州発の問題を考え、ECBのドラギ総裁からは、“かなり”ハト派的な発言が出されました。(ドラギECB総裁の発言へ:FX要人発言・ニュースのゴゴヴィ

 材料的には、ユーロの買いとなるものは現在特に見当たらない無いのですが、買いを入れる側としては“以前よりマシ”と言う事が材料になる状況でしょう。

 また、IMFからは、ECBに対して大規模長期流動性供給オペの実施などを行うよう促す発言が出ており、昨日のドラギ総裁がマイナス金利やOMTについて示唆している事から、来月・再来月のECBの動きは活発になってくる事が予想されます。

 他方では、ドルがかなりのスピードで買い戻されている訳ですが、このスピードに対して米の金融緩和量は引き下げられておらず、目先の緩和からの撤退目線のみで実体経済の状況とマーケットがかけ離れ始めている事に危険を感じるものがあります。

 早ければ、9月あたりからの緩和幅の縮小が行われると考えられているアメリカですが、この流れのままマーケットが流れていくのであれば、それはドル高によるアメリカ経済へのダメージは少なからず発生するように考えられます。

 全体的に、現在のマーケットの目線は、どの通貨のマネーサプライが多い少ないと言うものでは無く、将来的にどの国が最も早く金融緩和から脱するだろう?と言う“だろう運転”が強くなっている傾向が見られます。

 このマーケットが“だろう運転”を行っている時と言うのは、必ずどこかで調整が入り、その調整の速度はすさまじいものが有ります。

 特に本日のような非農業部門雇用者数の発表が予定されている場合には、ショックな数値が出た場合にも動きは比較的「範囲内」に収まる事が多いのですが、小さな話題でも飛び道具的に突然マーケットに落とされる材料には過剰反応を見せる傾向が有ります。

 このような展開になってしまうと、“眠れないマーケット”と言う展開が脳裏をよぎる訳ですが、やはりNYタイム後半に大きく揺れる展開が最近みかけられないので、それを期待しているのは私だけではないように思います。

ドル円4時間足のチャート

 さて、昨日は、日足安値を狙う形だと紹介しておりましたが、マーケットは下値更新を狙ったものの買い上げられる展開が見られました。

 本日は、少しオーダー情報が入っているので、それをチャート見ながら参考にしてください。

ドル円2013年7月5日チャート4時間足

 チャート的には雇用統計を待って、方向を決めたいと言う思いが見えますが、赤いトレンドラインは比較的長めの足で描写する事で、その機能性がかなり発揮されている事が分かります。

 目先の目線としては、下向き傾向の動きが起こる事を示唆しているチャートですが、ここから上げた場合には、週末と言う事もあり高値叩きをするのはしばらく時間を置いてからと言う事になりそうです。

 個人的な見方でが、雇用統計の数値は余り思わしく無い数値が出るような気がしておりますが、それは出たとこ勝負となるため、逆に良い数値が出た場合の方がサプライズ要因となるように考えています。