FOMC後の展開とリスク

 [2013-2-21] 今朝方のFOMCを受けて上昇を見せたドル円でしたが、結局行って来いの展開となってしまいました。

 本日は、このFOMCの内容の一部と、テクニカル側面からどのような影響が有ったのか?について書いていきたいと思います。

ドル円4時間足チャート2013年2月21日

 上はドル円の4時間足チャートに私が色々と書き加えたものですが、まず、緑のラインに注目して見ると三尊形式を依然としてキープしている状態である事が分かります。

 この形を作る上で重要な高値を突破しなかった事で、依然として三尊の形をキープする事となっている訳ですが、昨日のFOMCの内容を少し見てみましょう。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容から
・「他の数人は雇用の顕著な改善まで資産購入の継続を主張」
・「幾人かのメンバーは、景気予測次第でQE(量的緩和)のペースを変更すべきと主張」
・「複数のメンバーは、雇用市場が著しく改善する前にQE3の縮小、あるいは停止が必要な可能性を指摘」

 まだ、原文について全て読んでいない私が要約するのも酷い話なのですが、要するに今の緩和策に対して少し行き過ぎじゃないですか?少し緩和の巻き戻しを考えて買い入れ規模の削減等を考えてはいかがですか?と、言った話し合いが行われたと言う事です。

 この発表に対しては、事前に強い雇用指標が有った事からマーケットが有る程度予想していたため、発表前から強めのドル買いが起こっていたと想定されますが、発表長後には黄色の○で示した高値が、昨日記していた黄色の○を超えてしまい、ストップを巻いた事が分かります。

 この様子を見ていた私は、もしかすると高値抜けをしてきて94円台での定着もあり得るのかな?と考えていたのですが、続いて以下のような文面が発表された事で相場は一転します。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容から・「複数のメンバーは証券の保有期間をより長期化することにより金融緩和を提供する可能性を協議した」
・米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨「メンバーの1人は一段の刺激策を供給する方法として6.5%の失業率目標の引き下げが望ましいと指摘した」

 この発言は更なる強い緩和をアピールするメンバーが居た事を示しますが、思い当たる人物としてはイエレン副総裁エバンズ氏、ローゼングレン氏が頭をよぎった訳ですが、後者二人は直近の発言にて早期のQE削減を提案しています。

 そこで、頭に浮かんだのがジョン・ウィリアムズ氏ですが、ふと思いつくだけでもポンポンとハト派なメンバーが沢山出てくる事もアメリカの金融緩和に対する姿勢が強い事を示しているようには感じますが、この姿勢を受けて売りが先行し上昇の巻き戻しが起こりました。

 また、チャート上では高値を抑えるトレンドラインに反発したようにも見えるドル円ですが、昨日の高値追いの動きが生じたせいで、少し三尊形式から崩れ始め、レンジ的な展開になりつつあるようにも見え始めている事はテクニカル面から注意点だと考えています。

ヨーロッパからのリスクを忘れない

 昨日、FOMCに相場が注目をする余り、影に隠れた様々な事柄がありますが、個人的に「やはり欧州が怪しい」と考えています。

 それは、スペインとイギリスから発せられているメッセージです。

 まず、イギリスについてですが、昨日、1月失業保険申請件数(前月比)で予想が-5500件に対して、結果は-12500件と大きな回復を見せようとしていますが、その裏では更なる金融緩和の動きが模索されている事がMPC議事録から分かっています。

 緩和賛成派にマイルズ委員に加えて、現総裁のキング総裁と、フィッシャー理事の2名が参加して3名となっている事に注目なのですが、現キング総裁が退任後には現カナダ銀行(BOC)総裁のカーニー氏がBOEの総裁になる事が決定しているのですが、ここが少し注目材料です。

 カーニー氏は、「金融緩和をしない」と言う方針を既に打ち出しています。

 ・カーニー次期英中銀(BOE)総裁「BOEはポンドの健全性を維持する必要」「BOEは非伝統的な政策を脱しなければならない」
・カーニー次期英中銀(BOE)総裁「就任時に一段の刺激策が必要とされれば、他のMPCメンバーを説得するため最善を尽くす」
(参照:マーク・カーニーの発言・ニュース)

 つまり、このままだと外様で入ってくるカーニー氏と幾人かのメンバーの考えがガッチンコしてしまうと言う事になります。

 タカ派へと動くと思われるBOEだっただけに、この先の展開には更に注目しておきたいところです。

 そして、もう1つがスペインからですが、ラホイ首相が「スペイン経済状況は非常に困難で、十分に進展していない」「スペイン経済の持ち直しの兆し見られない」との発言を出しています。

 「やっぱりか・・」と言うのが正直なところですが、やはり以前にも少し書かせて頂いていますが、今年も5月に揉める気配がムンムンとし始めているなか、その頃に合わせるように調整局面となってくるように考えているのは大きく外していないように思えるのですが・・・如何でしょう。