ラホイとフィッシャー

 [2013-2-5] 少し為替相場の動きが大きくなっている最近の相場ですが、今回は長めの利益が出ております。

 昨日の残りのポジションを刈り取られた後、92.154で厚めの売りを入れていたところ、100ポイントほどの利益が乗ると言う状態となっています。

 もちろん、ここ2週間ほどずっと売り向かっていた訳ですから、いつかは当たると言うのが自然の摂理なのですが、「諦めない気持ち」と言うのはFXだけに限らず他の分野においても非常に大切な言葉のように感じます。

 さて、本日のキーワードは「ラホイ」と「フィッシャー」と言う事でブログを書いていきたいと思いますが、この二人は世界的にも有名な方なので恐らく多くのトレーダーの方は既にこの二人の事は御存じかと思います。

 この二人の繋がりは無いのですが、昨日の相場において違う角度から大きな影響を与えたと言う意味で繋がっております。

 では、まずはドル円の日足チャートから見ていきたいと思います。

2013年2月5日ドル円日足チャート

 昨日の引け間際の動きを見ていますと、どうも強い売り地合いであったと言う事は非常に強く感じたところではあったのですが、そこで日足チャートを見てみますと、綺麗な陰線で引けている事が分かります。

 特に赤い○で付けたポイントが大切で、高値圏での上髭陰線と言うローソク足分析をされる方なら、「まず今日の相場が売り地合いから始まるであろう」と言う考えが浮かぶポイントとなっています。

 この陰線高値に対しての打消しパターンとしては、本日のローソク足が長い下髭を付けたローソク足で引ける事がポイントとなってくる訳ですが、まだ長いとは言えない下髭を作るほど相場が下降していない事から、現在は夕方ですが未だに売りは強めの反応となっているように感じています。

 そこで、本日の本題のキーワード「ラホイ」と「フィッシャー」が登場してくる訳ですが、これまで強気の相場を演出してきた世界の市場ですが、この二人によって「おや?」と思える展開になってきています。

2つの角度からの不安材料

 まずはフィッシャー氏について少しだけ紹介しておきますと、フィッシャーと言っても相場に関係する人物で有名な方は2名いらっしゃいます。

 1人目はイギリスMPCのポールフィッシャー氏、2人目は、アメリカのダラス地区連銀総裁であるリチャードフィッシャー氏です。

 今回キーパーソンとして取り上げたいのは後者である、アメリカのフィッシャー氏なのですが、そんな彼が昨日以下のような発言をしています。

 「市場では行き過ぎの兆候がいくつか見られる」

 これは、フィッシャー氏が発言する事で大きな意味を持つ事になる言葉なのですが、フィッシャー氏は実はアメリカの連銀総裁の中でも代表するようなタカ派な人物です。

 特に彼の過去の発言を読んでいくと分かりますが、「量的緩和に反対」「ツイストオペには効果が無い」「量的緩和はコストほどの効果が無い」と言ったものが目に付くかと思います(参照:リチャード・フィッシャー氏の過去の発言とHDPへ)。

 つまり、「量的緩和を終わらせたい」と考えている人物が、「行き過ぎの兆候」と言っているのは何を意味するのか?と言う事になります。

 そこで飛び出してくるのが、一時14000ドルを付け史上最高値へと向かっていたアメリカのダウです。

 これは、「アメリカの量的緩和によって株式バブルが引き起こされているのではないか?」と言う指摘とも取れる発言であったため、投資家から利益確定が先行する売り地合いとなり、その影響からこれまでの楽観ムードであったドル円相場に対しても影響を与えた事が考えられます。

 次にラホイ氏です。

 フルネームでは「マリアーノ・ラホイ・ブレイ」と言うのですが、現スペイン首相を務めている人物です。

 一瞬、「マリアーノ」と聞くと「女性?」と思われる方もいらっしゃると思うのですが、スペイン語ではアルファベットの「O(オー)」で終わる名前は男性名に使われるので、マリアなら女性ですがマリアーノだったら男性になります。

 と、余談はここまでにして、このラホイ首相が裏金問題でスペインで叩かれている状態になっています。

 ラホイ氏と言えば、非常に頭がよく法律にも長けている人物として知られているのですが、1997年から2008年までの間に建設業者から300万円を超える裏金を貰っていたと言う話が浮上しています。(参照:マリアーノ・ラホイ氏の過去の発言とHDPへ)

 ラホイ氏は債務問題に苦しむスペインを救うために、緊縮財政を行い、市民が痛みを伴う改革に乗り出しているのですが、そのリーダーであるラホイ氏が「裏金貰っていたらダメだろう」と野党から袋叩きにあっている状態となっています。

 この件に関して、昨日ラホイ氏は「すべては完全な間違いだ」と述べ、辞任のする気は無いと言う意向を示していますが、市場はそう簡単に許してくれる訳も無く、スペイン国債を中心に売り浴びせが起こったと言う事です。

 このスペイン国債についてはドイツとのスプレッドが400bpを超えてくると、「スペインの資金繰りに問題が発生して来るレベル」と昨年スペインのデギンドス経済相から聞かれていますので注意をしたいところです。

 最後になりますが、この二人は昨日2つの角度からの相場を否定させる材料となりました。

 1つは、バブル傾向であること、2つ目は、欧州問題は終わっていないこと。

 どちらも円買い材料となりますので、本日の相場には株式、国債とどちらも目が離せない状況になりそうです。