雇用統計後ドル円の反転理由

 [2013-2-2] 今日は週末と言う事でチャートが止まっている事もあり、いつもと比べて比較的短めにブログの更新をしてみたいと考えていますが、本日のお題は昨日の統計後のあの相場の反応について書いてみたいと考えています。

 「なぜ、あんな反応になったの?」と思われている方も多くいらっしゃるのでは?と言う事で、私なりの解説をしてみたいと思います。

ダウ14000ドルプライスボード

 まず、昨日に発表されたアメリカ非農業部門雇用者数の結果ですが、市場予想が+16.5万人であった事に対して結果は+15.7万人と少し予想を下回る結果が発表されました。(参照:アメリカ非農業部門雇用者数のグラフへ)

 さらに、失業率については市場予想が7.8%であった事に対して、結果は7.9%と言う予想よりも悪化、前回よりも悪化と言う結果になりました。(参照:参照:アメリカの失業率グラフへ)

 これだけのデータを見るとするのであれば、当然、昨日のブログ内で言及していたGDPの結果が頭によぎる事になり、ドル円については売りで反応を見せるのが当然の流れになります。

 個人的には、『これで週足の上髭が確定すれば、来週から売り相場への転換が期待できる!』などと、シメシメと言った気持ちで居た訳ですが、実は雇用者の増減について中身が非常に良かった事で、ドル円の反応が様変わりします。

 まず、非農業部門雇用者数に関して、速報値+15.5万人で有った事に対して、このデータが上方修正され+19.6万人へと大きな増加となっています。

 つまり、昨年末のGDPがマイナス成長で有ったにも関わらず、雇用の伸びは今年の景気回復を強く暗示させるものとなりました。

 また、その中身が非常に良く、民間部門の雇用者において小売り業界の雇用が+3万2600人(前月+1万1200人)から加速するなど、政府部門が9000人削減で有った事に対して、民間が景気回復をけん引している事が大きな要素になりそうです。

 他にも、非農業部門雇用者数に関して、先に紹介した分に加えてさらにもう1カ月、計過去2カ月分での雇用の上方修正されると言う中身になりました。

 しかしながら、その中身を知った上でも失業率が悪化している事が要因で更に下押しとなり、ドル円は91.8辺りまでの下押しとなった訳です。

 基本的な経済指標の見方の1つの方法として、雇用が判断材料として難しい展開であれば、失業率を優先して相場は動く、または、雇用と失業率が上下違った内容であれば、失業率を優先する。

 と言う簡単な指標の見方があるのですが、今回の場合はその通りの展開となり、失業率の悪化を重要視した動きが全体的に強くなったと言う事になりました。

 そこで、飛び出してくるのが昨年末からの失業率の低下についです。

 この失業率と言うのは大変面白い数値で、仕事を探しているにも関わらず仕事が無い人の割合を表すもので、仕事を探していない人と言うのは失業者には入りません。

 つまり、例えば余りにも景気が悪化してしまい、仕事を解雇されてしまっても、「これを機に大学に入ってやろう」とか「今の内に資格を取ってやろう」と言う人は失業者に入らないのです。

 昨年はこの事が問題視され、雇用悪化が思わしく無い状態で失業率が下がっていくと言う状態が続きましたが、今起こっている事は「景気が回復してきたし、そろそろ仕事が見つかるだろう!」と考えて働き先を探す人が増えだしたと言う期待が取れます。

 つまりは、それを見据えてドルがそれ以上打ち込まれなかった訳ですが・・。

製造業や消費者信頼感に隠れる重要発言

 さらに、その後発表されたミシガン大学消費者信頼感指数<確報値>、ISM製造業景況指数についても、予想を上回る強い結果を出した事で、相場は更に反転、景気回復期待感からのドル円の買い上げに繋がっていく訳ですが、この陰に実はある方の発言が出ており、それが大変重要なので最後に紹介しておきたいと思います。

 ブラード米セントルイス連銀総裁「7%台前半の失業率なら米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和を解除する可能性も」 

 これです。

 ジェームズ・ブラード氏は中間派からどちらかと言うならばタカ派的な人物なのですが、この7%台前半と言う事を解釈するのであれば、7.3%あたりの失業率になった時点で量的緩和を解除する事を意味しています。(参照:ジェームズ・ブラードのHDPデータへ)

 それは、月850億ドルの緩和がストップする事を意味しているのですが、果たしてこれがストップした中で日本が2014年からの大型金融緩和を行うとするのであれば?と言う凄い円売り状態を期待させる発言と言う事になります。

 昨日の相場は凄かったですが、明日は週足を見ながら、またウダウダとトレードについて書いていきたいと思いますが、ダウが14000ドル、これは少しバブル気味な気がしていますが、FRBの調整が見ものとなってくる時期に入ってきているのかも知れませんね。