NZも通貨安戦争へと参入

 [2013-5-8] 本日は、大きなニュースが飛び込んでいます。それは、既にご存じの方ばかりだと思いますが、「ニュージーランドによるNZランドドル売り介入です」。

 市場介入で記憶に新しいところを考えると、韓国のウォン売り介入や日本の円売り介入などが有りましたが、ニュージーランドが市場介入を行ってくるとは、私も想定の範囲外でした。

 規模的には小額であったように思いますが、その「市場に与えたインパクト」と言う意味では大きかったように感じます。

 ニュージーランドが介入するに当たり、大きなネックとなっているのが、住宅価格の上昇で、数年前に中国人に対して購入を緩和した事も大きな要因の1つだと言えると思います。

 所謂、マイホームバブルと言いますか、低金利な内に家を買ってしまうとする動きが拍車をかけ、NZランドはインフレと背中合わせをしたまま、景気が伸びないと言うジレンマとなっています。

 さらには、オーストラリアが好景気で、ニュージーランドはオーストラリアから好景気となる部分を幾分か貰っているのはいるのですが、地震等の発生によるダメージがあった事や、最近では干ばつの被害があるなどして、農業にもダメージが有り、全体として景気はオーストラリアのように上手くいっていないのが実態です。

 しかしながら、マーケットの流れは、先進国の金融緩和により資源国通貨バブルとも言える流れになり、オーストラリアドルが買い進められる中で、ニュージーランドドルも買い上げられてきました。

 そんな中、先日のオーストラリアの利下げに対して、グレーム・ウィーラーNZ銀行(RBNZ)総裁も「切れた」と言うところでしょう?

 本音では利下げをしたいのがニュージーランドですが、住宅市場の更なる加熱は避けなければいけない、既に住宅価格の上昇は危機水域に入っていると言うアナリストもおり、ウィーラー氏も「住宅需要は簡単な信用によって支えられている」と言う危機感のある発言を出しています。

 インフレやバブルの崩壊が怖くて利下げもできず、利上げをしようにも世界は金融緩和真っ只中で、ニュージーランド高のあおりを受けての景気停滞。

 もう残された手は市場介入だけだった・・と言われてしまえば、その通りだったのかも知れません。

 しかしながら、市場介入は日本の例もそうですが、成功している国と言うのは残念ながら無く、逆にファンドらが市場介入を呼びこもうとする動きから、逆にニュージーランドドル買いを長めの流れでは推し進めてくる可能性もあります。

 そこで、恐らく今後噂に出てくるのが、スイス銀行のような通貨価値に対して上限や下限を設定する案になろうかと思いますが、スイスまだ、これが「成功した」と言える状況では無いのも事実。

 いつ、スイスフランの下限が突破されてもおかしくない状況で、市場参加者はそのストップを狙っているのは目に見えています。

 いよいよ、ニュージーランド政府が動いたこと、週末のG7、ちょっとマーケットが動き始める材料が増えようとしているのは、どうやら間違いは無いようです。

簡単なドル円の動き

 さて、今日は後半にドル円の動きを持ってくる事にしましたが、いつものように4時間足にてドル円の動きを描写してみました。

 基本的には、昨日のラインと変わっていないのですが、まずは以下をご覧ください。

ドル円2013年5月8日チャート4時間足

 特に際立って説明する点は無いのですが、99円ラインについては昨日ミセスワタナベと言いますか、日本の個人投資家が買いを入れていると言うフロー情報が出ており、そのストップを狙ってのモデル系ファンドの動きが盛んでした。

 そのため、ヘッジファンドの40pipsルールと言いますか、上下に40pipsを挟む攻防が行われていたように見ています。

 私は売りポジホールドのままで、今後ニュージーランドの介入を受けての世界的な緩和に対する疑問視が進む点を考慮して、やはり世界通貨安戦争の切っ掛けとなっている日本に対する目線がG7に掛けて厳しくなるであろうと言う事から、下目線を続けています。

 先日から持ち越している99.938はホールドのまま、利食いはその下で今週の月曜日の高値付近で入ったものだけを想定しています。

 基本的な流れとしては、98円台では、買いが強く入っていますが、98.6以下では、それなりの買いフローが入っているとの情報もあるので、底を突っかけるとストップを巻き込み反発の流れで良いと考えています。

 しかし、先日までの状況と変わり、ニュージーランドの危機が浮き彫りになり、全体的にはやや不安心理が加速し始めているので、一気に刈り取り下落するケースも想定しておくと楽にマーケットについていけるのでは?と考えています。