相場を知るテクニック

 [2013-9-24] まずは、先日のマーケットの反省点についてですが、ニューヨーク連銀総裁であるダドリー氏の発言が想定していた以上の「ハト派」的傾向を見せていたと言う点です。

 発言内容については後で解説を挟むとして、この発言を切っ掛けとしての強気マーケットへと移行していくはずが、モデル系ファンド関連だと思われる売りが入っていた事で、98.70(一目均衡表のテクニカルポイント)を狙う動きへと推移して、98.80を想定していた私のラインよりも深く刺さる事になりました。

 以下が先日の私が作成したドル円4時間足チャートです。

ドル円2013年9月23日チャート4時間足

 その後、「巻き返しの動きがある」と完全に確信していたため、98.60までをバックにした全力買いを入れて、98.80付近で入れたロング分の負けは既に回収し、さらに98.669では残りのポジションを握っている訳ですが、この残りについてはマーケットの動意が欠けるため、今は深く考えずに「残っている」と言う意識のポジションになります。

 さて、話を先日のマーケットについてのテクニックへと変えていきたいと思うのですが、まずダドリー氏の発言についてですが、「経済には依然として非常に緩和的な政策が必要」「失業率が6.5%へ低下するには相当の時間を要する」「逆風に対処するために力強い行動が必要」「資産買い入れについては、労働市場の改善が継続すると確信が持てるまでは縮小できない」(FX要人発言のゴゴヴィより:ウィリアム・ダドリーの発言・ニュースへ)

 これは、タカ派の欠片も無い、「完全なるハト派的な発言」となります。

 この発言に対してドル円は顕著な動きを見せなかったのですが、米国債を筆頭にボディーブローのように効いてきて、ドル円は結果的に値を下げる事になりました。

 その理由として、最近まではタカ的な発言も時折見えていた中での「完全なるハト派的意思」を示した事で、元々ハト派としては有名なダドリー総裁ですが、さらにそれを印象深い物にしたと言ったところでしょう。

 次に、これが最もマーケットを追いかけていく上で重要な、モデル系ファンドからの売りが入った話ですが、この「モデル系ファンドからの売りが入った」と言うニュースは、私の知る限りでは市場には流れていません。

 ですが、私は個人的に確信した「ストップ刈りの動きが起こる」と言う流れが想像できた訳ですが、その理由として、全体的に板が薄い状況であった事が条件となります。

 月曜日、さらに日本が休みと言う事もあり、板が薄い(全体取引量が少ない)状況なのは一目瞭然だった訳ですが、そう言ったケースでやたら目に付くのがファンド関連からのストップを狙った仕掛けです。

 その仕掛けを見極める事として、例えばマクロ系ファンド(ファンダメンタルズ的要因などを分析して売買を行うヘッジファンド)の場合には、攻勢の掛ける場合には、ライントレードが基本で、ある一定の水準を基準として下支え、もしくは頭打ちとなるようなトレードを仕掛けてきます。

 つまりは、「このラインは堅いよ」とマーケットに意識させる事により、状況転化を受けての逆方向へのブレイクをマーケットの意向に任せる形なのですが、モデル系ファンドは特に板が薄い事を理由にチャートを自分の想定した形にしようと力技で持っていきます。

 これは、下落中のマーケットであれば、その下落の先端付近、反対に上昇中であれば、上昇の先端付近で仕掛け、本日安値・高値付近で売り込みストップを誘発させて利を得る形を狙う傾向が強いです。

 そうさせるためには、チャートを上手く操作する必要があるのですが、そのポイントとして98.80での売りでした。

 98.80は1つのテクニカルポイントとして、私が書いていたようにマーケット全体から比較的注目が高いポイントで、恐らく、98.80オーバーで利益が出るトレーダーが多かったのだろうと推測します。

 そのポイントを背にして、キータイム、例えばロンドンフィックス後の残り5分で大量に売り掛けを持ち込んだり、テクニカルポイントにおける時間軸的要素を否定されるように一気に買い持ちをしたりします。

 先日の場合には、それが短期時間軸、恐らく15分より長い足から1時間足辺りまでを明確に捕えた売りの持ち込みがありました(私は30分ベースでの判断なので、別の時間軸では確認していません)。

 こう言った動きは、逆に狙われる事も有るのですが、先日のケースではダドリー総裁の発言がボディーブローとなった事で、上手く利益を出したモデル系ファンドが多かったのだろうと想定しています。

 もちろん、その後は、本邦輸入系の買いが入る事が想定されるので、98.50と言う明らかに堅そうなストップは無視をして手仕舞いを入れた事と、巻き戻しのフローで98.90付近まで上昇した流れです。

 本日は、少し偉そうにマーケットについて語ってしまいましたが、板の薄い相場がやってきた時には、マーケットの動きの質を見ながら、特徴をとっていくと、比較的に勝負所と言うのが分かりやすくなる事がしばしばあります。

ドル円4時間足のチャート

 さて、本日のマーケットは幾分難しい展開となってくるのですが、まずは以下のチャートをご覧ください。

ドル円2013年9月24日チャート4時間足

 本日予定されているFRB地区連銀総裁の話としては、ピアナルト総裁とジョージ総裁なのですが、ピアナルト総裁は中間色が強い総裁で、ジョージ総裁はタカ派な総裁となります。

 この両者を総括するとタカ派的な発言が出る事は、マーケットのコンセンサスと既になっているので、タカ派的な発言については、特にジョージ総裁から出た場合には特に問題視される事は無いと想定しています(ちなみに前回のFOMC決定にジョージ総裁は反対している)。

 そこで注目になるのは米住宅系指標についてですが、この指標については弱気な数値が出ると、一気に米国債利回りの低下が懸念されるので注意が必要だと考えています。

 頭においておきたいのは、米雇用指標はさほど強気では無い、米市場を牽引しているのは、あれほど弱気だった住宅市場であると言う事です。