ドル円来週の窓は難しい

 [2013-9-1] 今週末は、正直なところ・・「材料が多すぎです・・」

 明日の窓開けは、かなり二極化された材料が用意されており、実際、朝の4時頃になってみないことには、どちらの窓が開くのか非常に分かり難いのが今のマーケットに関する見方です。

 まず、上方向の材料を考えるのであれば、「中国の製造業PMI」です。

 中国は週末に指標を発表して来ると言う荒業をコソコソやってくるのですが、今週末も週末指標発表が行われ、「予想50.6」に対して「結果は51.0」と、かなり強い数字が出ています。

 この、「51.0」と言う結果は、2012年4月以来の高水準の結果となっており、中国経済の底堅さを象徴する形となり、基本的には、日本株上昇材料となるために「円売り材料」と言えます。

 次に下窓材料なのですが、御存じの方がほとんどかと思いますが、「シリア情勢」に関する世界各国の動きが「下窓材料」といえます。

 しかし、この判断が“かなり”難しく、アメリカによる単独攻撃となる事は“ほぼ”確定しているような状況になっており、

 オバマ大統領は「武力行使について米国民の代表である議会の承認を求める」と発言した事により、攻撃まで若干の時間が掛かるのでは?と言う見通しが立ちますが、9月5-6日にロシアで行われるG20においても、理解を求める可能性もありますが、「国連安保理はシリアでの国際規範の明確な違反を前に行動する能力がないことを示した」と発言するなど、G20の意見はさほど重視していないのもあきらかでしょう。

 また、ケリー国務長官は、「(国連は)米国がすでに知っている以上のことは報告できない」とし、31日にシリアを出発しレバノンに到着している国連調査団の調査結果の無意味さをアピールするなど、アメリカが独自に攻撃へと移る事を示唆する内容を発表しています。

 シリア攻撃については、ベイナー下院議長は予定通り9日に下院を再開する事を発表した事を受け、9月9日以降での攻撃が予想されており、マーケットが緊張していく事になる1週間となる事は、間違いないでしょう。

 ロシアからの反応は、プーチン露大統領が「もし米国がシリアを攻撃するなら非常に悲しい」と発言するなど、同盟国であるシリア攻撃に関して否定的な意見を述べており、まずG20で話題に上った場合においてもロシアは反対路線となる事は明白で、中国も他国への攻撃を良しとしていない姿勢を貫く事が想定される事から、攻撃反対路線となるでしょう。

 一方、プーチン露大統領「英国議会のシリア軍事介入への投票は意外だった」と発言するなど、イギリスが米国との共同攻撃に出る事を想定していた流れは、イギリス議会で否決された事を受けて、イギリスは既に戦線離脱をしています。

 そして、現在アメリカと共同攻撃を行うのでは?と言われているフランスは「シリアへの軍事介入についてフランス人の64%が反対し、賛成は34%」と言う世論調査が発表されるなど、攻撃がアメリカ単独になる事を示唆する内容が出てきています。

 来週は、米雇用統計の発表が行われる1週間となるのですが、アメリカがシリア攻撃を行う事が、現在、かなり高い確率となっている中、良質の数値が出た場合にも、量的緩和引き締めの先送りとなる可能性も浮上しており、情勢が情勢だけにドル売りが難しいため、円買いが起こる事も留意しておきたいことだと考えています。

ドル円4時間足のチャート

 さて、後半戦はいつものドル円4時間足チャートなのですが、今週は週末ゆっくりマーケットについて考えてみても余りにも材料が多く、判断が付きにくい状況ですのでラインを入れてみました。

ドル円2013年9月1日チャート4時間足

 形状は日足レベルで引かれる三角持合いの形をどのようにブレイクしてくるのか?がポイントとなってくるように考えていますが、基本はやはり下ブレイクの後に上攻めとなる事を想定しています。

 円売りポジションが増えている中で、ストップ巻き込み売りには常に注意をしておく必要がある相場状況ですが、極端な下げは、極端な上昇を招く展開でもあるので、大相場には大相場のトレードで攻める事を今週の目標にしています。