FRB次期総裁に揺れる相場

 [2013-9-16] 昨日は、私のトレーダーとしての概念と、このブログの存続に関わる話をさせて頂いたのですが、本日は昨日後半で紹介していたマーケットについての内容に沿う話が1点と、予想外の事態が1点の合わせて2つの話が出ているので、この話を少しだけさせて頂きたいと思います。

 まず始めに、シリア情勢について、アメリカとロシアが合意した事は既に多くの方がご存知かと思いますが、「これで終わり」と言う訳では無いのですが、マーケットでくすぶっていた「アメリカ・ロシアの全面対立」と言う最悪の事態は避けられる見通しがたったため、これまで上値を抑える要因であったものが取り払われ、「上値を攻めやすい展開となっているのでは?」と言う話をしていた一方で、「既にマーケットが織り込み済みと判断する可能性有り」で大きな材料視はされないであろうと言う話をさせて頂いておりました。

 この考えは、現在のマーケットを見る限りでは、どうやら間違いではないようで、恐らく上値を攻めはじめる展開となるのであれば、「シリア問題を材料に売り掛けを持ちかけてくる人たちは居ないであろう」と考えられ、さらには大きな材料とはされずに上窓とはいかず、下窓スタートと言う形になりました。

 次に、「なぜ下窓でスタートしたのか?」についてですが、これは今朝方に飛び込んできた「オバマ米大統領はローレンス・サマーズ氏を次期FRB議長候補から取り下げた」と言うニュースからです。

 このサマーズ氏と言うのは、その昔にですが日本に対して内政干渉発言をするなど、バーナンキ総裁とは違い失言が飛び出すタイプの人物なのですが、このサマーズ氏がバーナンキ総裁の後任としては「最も有力」と考えられてきました。

 実際、この事について、日経新聞社など「近い内にオバマ大統領が次期FRB総裁としてサマーズ氏の名前を出す」と言った報道が行われ、ドル買い場面も有ったほどです。

 このサマーズ氏について、「サマーズ氏がタカ派(金融緩和縮小派)だから、FRB総裁職を辞退したためにマーケットが噴いた(ドル売りになった)」と言う見方もあるのですが、実は、ここで大切なのはもう一人のFRB総裁有力候補者であるイエレンFRB副総裁の存在が大きくマーケットがドル売りに動いたと言う経緯があります。

 サマーズ氏は、「タカ派」と言えるほど強いタカ派な人物では無く(個人的見解)、どちらかと言うと、「中立よりも少しタカ派より」と言った感じの人物なのですが、もう一人の総裁候補者イエレン副総裁は完全な「ハト派」です(FX要人発言のゴゴヴィ参照:ジャネット・イエレンの発言集へ)。

 ゴゴヴィを見てみましても、PRHDPは「-3.9」と突出して強いハト派傾向を示す数値が出ているのですが、彼女は「バーナンキ総裁の考えに対して完全に同調している人物」と言っても過言ではないでしょう。

 つまり、マーケットは「バーナンキ ⇒ 量的緩和を推進した人物 ⇒ イエレン ⇒ 同調 ⇒ さらに金融緩和が長引く可能性」と言う見方が主流となり、これまでの最有力候補であるサマーズ氏と比較して圧倒的なドル売り材料としてのインパクトが有った訳です。

 さらに、今朝方のニュースでは、懐かしい名前だと思われる方もいらっしゃると思いますが、ガイトナー前米財務長官も「FRB職には興味が無い」と言う考えを示しておりますが(ガイトナー氏は元NY連銀総裁でもある)、若くやり手のガイトナー氏が対立候補となった場合にも「ハト派」と考えられるため、やはりドル売り材料となり、サマーズ氏が総裁候補から落ちた事で、一気にFRBの今後の見通しが「ハト派色」へと舵を切りそうになりました。

 そのため、朝の板が薄い時間から、打ち込まれた事による下窓の展開となっているのが、今のマーケット状況だと私は考えています。

ドル円4時間足のチャート

 さて、後半はいつものドル円4時間足チャートでマーケットについてみていきたいと思います。

ドル円2013年9月16日チャート4時間足

 現在下押し中となっていますが、98.8辺りは固めの買いが入っていたラインではあるので、個人的には、現在の底値98.7割れをバックにした買いで、短期ダブルボトムと、4時間レベルでのダブルボトムネックラインをバックにした買いを入れています。

 最近のマーケットは窓を週末に埋めに掛かるケースが散見されているのですが、材料がFRB議長について悲観的になるような内容では無いため、反発するポイントとしては反発してくるであろうと言う考えを持っています。

 また、底抜けしてしまうと、ダブルボトム完成で、96.8辺りを目途にして97円のストップをカットしてきた後での反転となる可能性があるため、チャート的には一気に売り方に傾く可能性も留意しておきたいと考えています。