米政策金利急速な利上げも

 [2013-9-19] 本日は、私を含め、かなり寝不足の方も多い事だと思いますが、私はもう既に“ヘロヘロ”で休んでいるのか、マーケットを追いかけているのかすら分からない状況にまで追い込まれてしまっています(笑)。

 トレードは、先日のショートを上手く利食いさせる事ができたので、今週は十二分に利益を出しているのですが、それも今週のブログ内での的中率と重なっているかと思います。

 大きく外した点としては、今朝方発表されたアメリカの量的緩和縮小規模について、50億~60億ドル程度を想定していたところ、変更なし、つまりは緩和継続となった点ですが、これについても十分に心の準備が出来ていただけに(想定以上のドル売り好材料)となっただけに、個人的には“歓迎”と言ったところです。

ドル円2013年9月18日チャート4時間足

 上は、先日私が作成していたドル円の4時間足チャートとなるのですが、後で紹介をしますが大きなテクニカルラインを割り込んで現在は推移を見せています。

 その理由としては、やはり量的緩和の縮小が無かった、つまり「ノーテーパー(No taper)」となった事により、ドル売りに波及し、米国債の利回り低下も手伝って、最も買われやすい円を筆頭として買いこまれたと言う形になります。

 この米量的緩和の継続は、新興諸国には良い影響を齎しており、インドネシア株などが急上昇をするなど、米国への資金巻き戻しの動きを遅らせている状況が現在進み、日本株は強気に推移した事も有り、現在は若干ドル円に対しても巻き戻しの動きが入っています。

 さて、今朝のFOMCとバーナンキ議長の発言から、実は、興味深い結果が出ており、比較的に長期の動きの話となりますが、ドル買いとなる話が出ています。

 まず1点目として、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の話として、FOMCメンバーの「半数以上がインフレ上昇を予測」と言う発言を出しています。

 今現在、米国は過剰流動性状態、つまり「ドルじゃぶ状態」となっており、その影響も有り多くのメンバーがインフレ率の上昇を懸念している事が分かります。

 インフレ率の上昇は、すなわち利上げを意識させる材料で、FRBは、イギリスのようにノックアウト方式の政策をとっていないとは言え、今後CPIコアが2.0%を上回るような動きを見せたならば、その懸念材料に火が付きドル買いとなる可能性を示唆させます(経済指標データ:アメリカCPIコアの推移)。

 次に、以下のデータをご覧ください。

 2015年末時点での適切なFF金利水準予想では1%未満が1人、1%以上2%未満が7人、2%以上3%未満が6人、4%以上5%未満が3人。前回の2015年末時点での予想は1%未満が6人、1%以上2%未満が9人、2%以上3%未満が1人、3%以上4%未満が3人

 このデータを要約すると、前回のFOMC決定会合時と比較して、2015年末時点での金利は2%以上3%未満と予想をしている委員が1人から6人へと大幅に増えています。

 これは、逆算するのであれば、2015年に向けて早急に量的緩和の引締めを行わなければ、2%の利回りを残り2年で達成するのは困難な状況下にある事が示唆されます。

 つまりは、急速な巻き戻しを示唆するため、緩やかな巻き戻しをイメージさせてきたFRBとしては、比較的珍しいデータであるように私は考えます。

 さらに、バーナンキ総裁は「FOMCは予定外の記者会見を行う選択肢がある」「量的緩和縮小の第一歩は年内に可能」との意を示すなど、「もしかすると突然量的緩和が縮小方向へと向かうのでは?」と言う事をイメージさせる発言も飛び出しています。

 バーナンキ総裁の任期は残り少なくなってきているとは言え、このドル買い材料となる発言はトレーダーの心の底に深く残る内容になるかと思います。

 3点目として、バーナンキ総裁は「政策金利は2016年以降の数年間で最終的に4%へ引き上げられる可能性」とも発言をしており、具体的な将来の数値を公の場で発言すると言うのも珍しく、2016年以降とかなり先の話になるとは言え4%の政策金利と言う話が出ました。

 この4%と言う数値は、某アメリカ有名アナリストが示唆している急速な金利上昇が必要との見方を示している意見と合致するもので、今朝の表向きの発言はハト派的な意見が主流となったものの、暗に非常に強いタカ派的傾向が見られている事が重要視されるべきだと考えます。

 また、バーナンキ総裁からは「政府の行動により経済が減速すれば、そのことを考慮しなければならない」とし、米債務上限引き上げの遅れによる景気の下振れリスクにより、FRBの判断は流動的にさせる用意がある事を示し、「我々は成長に関して過度に楽観的だった」とする事で、先の量的緩和縮小は遠のいたのでは?と言う考えもマーケットに対して訴えかけています。

 現在のマーケットを見る限りでは、これらの発言による大きなドル売りとなりましたが、実質中身をゆっくりと整理して見れば、FRBには多くの判断材料が有る中でも、「急速な巻き戻しに入るのでは?」と言う考えが“マーケットの主”となってくるように個人的には考えています。

ドル円4時間足のチャート

 さて、綺麗にテクニカルポイントをブレイクしたドル円の4時間足チャートでマーケットを最後に追いかけておきたいと思います。

 上のチャートを見て頂けると分かりますが、チャート的にはかなり明確な売りサインが出ています。

 そのため、98.8辺りを背にした売りを入れるのがセオリーで利益確定ラインは97.00辺りまで見込める、非常にショーターとしては上手いチャートが完成したように考えています。

 もちろん、三尊のネックラインを再度上方向へとブレイクした場合には、手仕舞いの用意が必要となるのですが、98.5にショートストップが乱立している事を考えると、短期的にストップを刈り上げたところは上手い売りポイントとなる可能性もあるので、勝負どころだと考えています。

 しかししながら、テクニカルチャート的には売りとなりますが、材料は先に紹介したように長期的には底堅さを表すものがあると考えているため、チャート目標達成後には後を引きずらずに途転を考えています。

 また、落ちる材料があるとするならば、米債務上限引き上げの話はもちろんの事ですが、欧州からポルトガルの格下げを含む、少し弱気な材料が出始めているので、その辺りにも要警戒と言う事になりそうです。つまり、いつものように勝負は「欧州・アメリカ時間」となる事が今後想定されると考えています。