難しい来週のドル円相場

 [2013-11-17] 本日のFXブログは週末から来週のマーケット展開について簡単に整理しておく事を目標に紹介していきたいと思います。

 まずは、先週末時点での私が作成したドル円4時間足チャートをご覧ください。

ドル円2013年11月15日チャート4時間足

 マーケットは一時売りサインのような形状を取りましたが、結果下髭を作る形で戻してしまい高値突破となってしまったために、上のチャートで記した売りサインは既に消失してしまっています。

 こうやって4時間足レベルで追いかけていると分かるように、先週一週間は強い気に推移したマーケット展開となりましたが、このドル円の上昇を支えたものは、日本株の上昇です。

 「Buy Japan」を安倍晋三首相も掲げているように、「今の日本は買いだ」と言う事になるのかも知れませんが、この日本株の上昇について、マーケットアナリストからも不思議な解釈が聞かれているので、個人的な意見を記しておきたいと思います。

 あるマーケットアナリストは、「イエレン副総裁(次期総裁)が公聴会にて、米金融緩和の終了について言及しなかったために、世界の新興国から生まれた安堵感から株価の上昇に繋がった」とする見解を示しておりました。

 「これに伴い日本株も一緒に買われた事により、円も売り方向へとシフトしやすくなりリスクオンの展開となり、全般的に円売り傾向でマーケットが推移した」との事でした。

 このニュースを見たのかどうかは分かりませんが、昨日、友人と話しておりますと「イエレン副総裁で円売りに繋がった」と言う話が飛び出してきたり、一昨日には私の父からも「イエレン副総裁でマーケットが上がったんだろ?」と言う質問を受けました。

 しかしながら、中身について「円売りさえしておけば良い」と言うような簡単な物では無く、個人的には「マーケットの反応はこれで良かったのか?」と疑問視しておくべき点だとも考えています。

 本日は、この事について詳しくは書きませんが、イエレン総裁はFRBメンバーの中でも指折りの「ハト派」だと言う事を忘れるべきではないでしょう。

 さて、この事を軽く頭に入れてマーケットに臨む事が今週のキーワードとなってきそうなのですが、「何処で崩れるのか?」「いつ崩れるのか?」「何が原因で崩れるのか?」を軽くイメージしておきたいと思います。

 もしも、このままドル円が上昇するのであれば、100.5のラインを明確にカットしつつ、100.5辺りを下値バックにして本邦系の輸入企業からの買いオーダーを観測する必要が有りますが、最近のマーケット展開で下値で買い支えているフローとしては、カストディアン系からがメインとなっています。

 つまりは、まだ完全に「100円より上で推移する」とは言い切れない状況である事を頭に入れておきたいところだと考えています。

 そうするならば売りで入りたいところですが、意識しておくのは、やはり水曜日に予定されているFOMC議事録公表でしょう。

 この議事録内で、「どれほどハト派な意見が入っているか?」がドル円マーケットの下落に影響してくる事が想定される訳ですが、個人的には、「ハト派な意見だけがマーケットの下落に寄与するのか?」と言われると疑問符が頭を巡ります。

 と、言うのは、現在のドル円の上昇は日本株ベースによる上昇となっているため、その背景にはアメリカ株による影響が色濃く残ります。

 つまりは、議事録にてタカ派な意見が出た場合に、米国株が崩れ落ち、米国債が売られると言う奇妙な状況が出来上がるのですが、米国債売りと米国株売りは相反する存在になります。

 それは、どちらの動きが明確になるのか?がマーケットから注視されているものと言えます。

 例えば、米国債が売り込まれ、利回りが1%超上昇するようなケースで、米国債が200ドルオーバーの下げを記録するとなると、ドル円に関しては米国債の利回り上昇による2国間金利差を意識しての円売りドル買いとなりたいところでは有るのですが、次の日の日経が落とす事を考えると、下支えとして作用しているものを失う事になります。

 もしも、米国債の動きと、米株の動きのパワーバランスにおいて、史上最高値更新連発をしている米株が大幅な下落となった場合に、資産が米国債に流れる事になると、米国債の利回りは上昇せずに、株価の下落だけが起こり、それは全体的なリスクオフの展開を見る事も留意しておかなければいけないと考えています。

 この、米国における金融緩和からの撤退だけのニュースを考えたとしても、正直、“かなり難しい”と言う状況が現在のマーケットとなっています。

 そこで、もっと分かりやすいニュースを手掛かりにしてマーケットが動く事になるかと思うのですが、やはり分かりやすいものとしては、欧州の不安が拭えていない状況です。

 欧州では、フランスがGDP3%以内の債券発行額の増加にギリギリで、イタリアはどうやら3%の枠組みをクリアできず、かなり危険な状況にある事が争点となっています。

 これは、イタリア経済がかなり疲弊している事を意味している訳ですが、この3%の枠について「ちょっと待ってほしい」とするイタリア側の意見と、「そんなもん条約は絶対だ!」とするドイツ側を代表する意見と対立が起こっており、こう言った政治的な問題について「真っ先に買われるのが円である」と言う事も留意事項となるでしょう。

 ここに来て、厳しいニュースが飛び出し始めている欧州ですが、実は、「明るいニュースが見えない」と言った状況は、まだまだ継続しており、マーケットの注目が日本の量的緩和やアメリカの政治問題に飛び火して注目が無い状況でも一切変わっていませんでした。

 こう言った欧州のジリジリした状況がマーケットに何時火を付けるのか?これも来週のテーマとなってきそうな予感がしています。

 最後に、一段落を見せている中国も、根本的な問題は全く解決に至っておりません。

 不安材料だらけの中で、量的緩和により作り上げられた好景気の中で、一体誰が梯子を外すのか?マーケットが少しでも「分からない」と言うならば入る事が全くできない日々が来週のマーケットを形作っていくように考えています。

ドル円4時間足のチャート

 さて後半はいつものドル円4時間足チャートです。

ドル円2013年11月17日チャート4時間足

 このように見てみると、上値が段々と重い状況になってきている事が分かると思うのですが、上値を一時的カットするようなモデル系ファンドからの瞬間的な買い上げが出る事には注意したいチャートになっているように思います。

 しかしながら、上値をカットしたからと言っても、短期的な売り戻しは強い事が想定されるので、高値圏でストップカットを行った場合にコツコツと戻りをひらい、半分は益が伸びる事を期待してのホールドを基本としてみたいと考えています。

 ポイントとしては99円台まで打ち込まれた際に、先に紹介したように本邦輸入系からの買いフローが出るかどうかなのですが、もしも99円台にてフローが入るようならば、上向きのマーケットと想定しておいても良いと考えられます。

 ただし、103円台に入ると、非常に大きな売りが入る事が予想されているので、ロングはジャンピングキャッチをしないように注意をして臨みたいと考えています。